第一回レポ 題材:エヴァンゲリオン第1話OP〜Aパート

レポートにどんなことを書けばいいのか、未だメンバーの誰も分かってない。

オープニング

  • 開始あるいはビッグバン。

これからアニメが始まる「オープニング」の冒頭であることから、「開始」「起動」ということを俺は意識する、開始を求める欲求が働いている。ほぼ何も見えない真っ黒な背景は開始以前である。そこには既に一点の開始が仕込まれている。静止した闇の中に、一粒の期待がこめられているために、我々は開始を予感する。数瞬の開始以前の体験の後、青白い光の輪がさっと広がり瞬く、その動き(速度×時間)と、闇に対置される光が、高らかに開始を宣言する。この光の速さに、神の創造の跳躍を見てもいいかもしれない。
黒=闇、青白=光、と捉えることには注意すべきか。もちろん透過光の効果は無視できない。

  • 開始された宇宙、赤、血、そして青白い光の脈動。

この赤黒さをどう捉えるか。若い宇宙の色と見てもいいかもしれないが(よう知らんけど)、経験的に赤から血を連想しないわけにはいかない。すると「残酷な」の歌詞と接続しやすい。また、血だとすれば、なんらか生命的なものとして、開始を誕生と意味づける事も可能になる。
「天使」の歌詞が聞こえてくるのとほぼ同時に翼を持った天使らしきものの図像が画面に現れ、小さくなりながら、画面上部に向かいながら、消えていく。この意味は俺の文脈(志向性)の中では意味づけられない。
天使が消えると画面は青と黒の世界に一変する。背景では細かい光の粒の中が画面中心から周辺に向かって移動している。これは星だろうか、宇宙が誕生し冷えて(青)、星が生まれているのか。それを背景に、樹木のような形をした図像の中を、青白い光が下から上に突き抜けてゆくように見える。そして天辺まで上りきったところでカットが変わり、光がゆらゆらと揺らめく。樹木の図像の意味するところは判然としないが(よう知らん)、それを勢い良く登りつめる様には、開始の後の増大・成長を見て取ってもよかろう。揺らめく光は燃える炎であり、炎は生命の比喩としてはありふれている(「命の灯火」など)。炎のゆらめきに生まれたての成長する生命の脈動を見よう。そのポジティブな私見は、やはり開始の情動から来ている。
青と赤、色づかいの意味は、考えうる問題。

  • 見方を変えると

OP冒頭の光の輪を水面に広がる波紋のように見れば、ここでの青白い光のゆらめきは、水中から水面を見上げているようにも見える。『コードギアスR2』2ndOP冒頭みたいなー。

  • 十字の光芒とタイトル

灰色なのは何故か、良く分からない。しかし、この十字の光芒は十字架を類似物と見る。このアニメにキリスト教的なものが大きく関与していることを俺は知っている。
タイトル文字が闇の中から光を放ちつつ立ち上がってくる。「定位置」につくとその青色っぽい光は薄れ、グラデーションのついた赤色っぽい文字になる。光がピカーンと瞬くと「新世紀」の文字が現れ、そして、冒頭と同じように、タイトルを中心に一瞬青い光の輪が閃く。こうして開始が開始され、また次へと、光芒が繋いでいく。
「光がピカーン」って見えるテクニックが気になる。光がパパパっと煌くタイミングの面白さとか。そうね、十字架とかじゃなくただ単に金田系なだけかもしれんなあ。金田もよう知らんが。

  • 青、少年、影。

「青い風」と青い空は通じ合う。青空をバックにシンジ君が正面から左側へと視線を移動していく(髪が風になびいている)。「胸のドア」とほぼ同時に現れる、シンジ君の全身の影、となるとこの影に彼の胸の内を見てもいいんだろうか。影という闇あるいは「見えにくいもの」と胸あるいは心を関係付けようとしている俺。だが、影は必ず「何か(本体)の影」であり、その「何か」を指示するものと見ると、事態は余計にややこしくなる。ということもないか。

  • 影として現れる少女達

横を向いてしまったシンジくんに覆いかぶさるように、大きな二つの影が通り過ぎていく。
横=側面=正面ではない、そのことに意味がありそうだ。正面を向いている状態より、我々はシンジ君のことが掴みづらい。そのことの意味とは。また、側面ということを考えると、正に彼のプロファイルという意味も考えられそう。
そこを通り過ぎる影は、綾波とアスカを指示するものであるのは明らかだが、シンジ君の横顔・青空(少年性?)に落とされる「暗影」としても見れないだろうか。黒には禍悪を感じる。

  • セピア色、29歳。

この指の形が昔から不可解だった。今でも分からない。「そっと触れるもの」と関係しているのか。
「求めること」とミサトさんが2重に勃起することは関係するか。勃起って書いてしまったら、もう。
影=心とすれば、次のカットで膝を抱えるミサトさんにはいろんなものを見て取れそう。それを真正面から見つめるというわけでもなく眺めやるシンジ君には、冷たさを見て取ってしまう。「青さ」から「くすんだセピア色」への視線に軽蔑を俺は感じてしまうよ。
そして、このシンジ君の視線に窓ガラス越しの綾波の視線「いたいけな瞳」が絡み合う。見る-見られる関係の二重化?
しかし、シンジ君の顔アップに視線を感じなくてもいいかもしれない。ミサトさんとシンジくんの関わり合いだけでもいいのかもしれない。それを見つめる綾波の視線はあるとしても。

  • 連続しないものの連続

もう疲れたので大雑把に。このOPの特徴の一つに、瞬きしていると見逃してしまいそうな高速でのカットの切り替え(フラッシュショット?)を挙げてもいいだろう。
カットがそれぞれ異質であることが認められる。絵だったり文字だったり。動いたり動かなかったり。普通のセル画だったり鉛筆描きぽかったり。もちろん意味もつながらない場合が多い。そのような異質なものを連続させているから、俺達は興味を惹かれるのではないか。
異質なものは連続しないのである。連続性というものを人が見出しうるためには、同じであるものがなければならない。しかし、異質なものでもフィルムとして繋いでしまえば、連続した時間の上で見せてしまえる(時間という連続性)。俺達は本来連続しないものを連続的に見せられる。そこに面白さがあるんじゃないか。また、カットがフラッシュしつづけるため、連続性について考える暇がないということもからめていけそうなのだが、ちょっとめんどくさそう。早すぎて何なのか良く分からないからもうそもそも分析できない、というか。
ってこんなこと書いていいのか?分からないが、本編へ。

Aパート

・カット1
文字。
・カット2
ヘリコプターが飛ぶ音と、高速で揺れ動く水面、斜角。スピード感。初っ端からこのスピード感!
・カット3
高い視点。音の連続性、しかし少し遠い音。人型の影が水中に見える。動いている。これはなんだ?→カット4へ。
・カット4
海底から上向きの視線。使徒が泳いでいる全身を捉える。音は全く別物。画面に遮蔽物があることで、使徒を「垣間見」ている感がある。見つかるとヤバイんじゃないかしら。
・カット5
水没したビルから使徒をやはり垣間見る。先ほどよりアップ。顔らしきものが大写しになる=得体の知れないものはもっと見て知りたいという俺の欲望と呼応。音及び映像でも、使徒の加速が感じられ、動き・始まりが予感される。
・カット6,7
整然と海岸線にそって並ぶ戦車。壮観。どうして壮観だと感じるのか?分からない。整然としすぎている戦車、アスファルト、強い光、セミの鳴き声、無機質あるいは静止静寂。
・カット8
広がる空・海・水平線。そこに差し向けられる砲筒。戦車の弾は一方向に飛ぶ、ならばその砲は方向を指示する。この砲のレイアウトだけで大きく広げられている海に視線を向かわせる。そして彼方で水面が割れる。
・カット9
海から街への視線の移動。
・カット10〜13
さらに街の様子。人気のない不気味な駅。聞こえてくる放送がそれに文脈を与える。夏・セミとこの人気のなさは、対比されるものだろうか。夏=活気に対置されてこそのこの不気味さ、といえないか。
・カット14
その街の中を一台の車が走っていく。なんだこの車は、一台だけ動いているぞ?しかし、カット10では動いている人(避難しようとしている人だろうか)がいたがために、ちょっと微妙な感じに。しかし、次のカットを見れば、その車がどういう車なのかは分かる。
・カット15、16
車を運転する、人探しをしているらしい女。
・カット17
シンジくんの写真。彼を探しているらしい。
・カット18
受話器を耳に当てているシンジ君の正面からのバストショット。写真からのつながり。電話が通じない、困っている。
・カット19
ロングからのシンジ君。シンジ君の居場所に関する説明。「来るんじゃなかった」
・カット20
カット19からのアクションつなぎ?写真を取り出し、見る。映っているのは女。車の女かな?二人は互いに捜し求め合っている?
・カット21
時計を見て、「シェルターへ行こう」。そしてふと視線を動かす。
・カット22
白いもや=光でぼやけた画面の中、中央、ロングショットでの女の子。無音。画面と音のトーンの違いが、存在的な違いになる。誰だ?考える間もなく、カットは移り変わってしまう。
・カット23
羽ばたく白いハト、バタバタとやかましい音(←→無音)。シンジくんの視線の移動、あるいは気散じ。
・カット24
視線を戻す。カット22と同ポジション。だが、画面のトーンは他のカットと同じになり、女の子はいない。この時点で俺達には綾波の儚さが刷り込まれていないか。セミの鳴き声は消える。
・カット25
シンジくんをやや上から見下ろすカット。この「やや上から」への変化はなんだ?シンジ君の矮小化?ぼんやりするシンジ君に突然の強い風。この風のためにアングルを変化させているのか?
・カット26、27
風で揺れるシャッター、電線。強い風で揺れている、それだけだがこれがないと、どうなってしまうだろう?仮定して考えてみると面白そう。しかもやっぱり人がいない。信号機が一瞬点滅するのは、電線が障害を起こすから?細かいよなあ。この繊細さが、どう心に影響しているのかわからないが、きっとしている。これは取り出したい。
・カット28
アングルは元に戻る。恐る恐る目を開けるシンジ君。周囲の様子を確認し、何かに気づき振り返る。
・カット29
山の稜線から、飛行機が後退して来る。なんだ?と思ったら、先ほどの使徒が。歩いている。
・カット30
唖然とするシンジ君。やや上からのアングルなのは、カット29の下から上を眺めるアングルを切り返しているようなイメージなのかな。ぐーっとシンジ君にカメラが寄っていくのに、何か感じるけど、なんだろう。シンジ君の驚きが、ぐーっとこっちに伝わってくる感じだろうか。
・カット31
地図。使徒が左に向かって動いているので、ここでも方向は揃えられている。
・カット32
発令所。多分、発令所すげー!くらいのアレでいい。
・カット33
ゲンドウ、冬月。ゲンドウはメガネのせいで表情が見えないので、この人のことが気になってしまう。座っている-立っている、で大体二人の関係も分かるけれど、タメ口なのでアレ?ってなる。が、そういうものとして納得しておく。「15年ぶりだね」、前にもあんなのが来てたんかい。カット1の「2015年」と呼応。
・カット34
モニターに大写しにされる使徒。「使徒だ」。使徒って言うのかー!まあ、知ってるんだけど。
・カット35
第1話サブタイトル。使徒が「襲来」している!観光とかに来ているわけではない!音楽スタート。でんでろでんでろ。やべー!やべー!
・カット36
シンジ君の頭上すれすれを飛んでいく巡航ミサイル。シンジ君はもとより、街中をミサイルが通過していく、この演出はすごい効果があると思う。やべー!って感じ。どんな感じだ。速い、カットつなぎも速い。
・カット37
「ああっ!」びっくり。と思ったら次のカットへ。このテンポは研究したい。ストップウォッチ持って来い。
・カット38
ミサイルが使徒に直撃。まあそうなるよな。丸い爆炎。赤くない炎。
・カット39
その余波で吹っ飛ぶ電車・駅。こういう風に街のスケールと使徒のスケールを絡めると、なんか楽しいんだが、もう少しその感情の内容を探りたい。
・カット40
飛行機のアップ?通信している、と思ったらその最中で「ああっ!」、光が画面内に侵入。
・カット41
カット40からアクションつなぎっぽく、使徒の(初めての)攻撃が飛行機に当たっている。ロング。距離。
・カット42
飛行機がシンジくんの傍に落ちてくる。またスケール感の切り替え。でかい!
・カット43
使徒を捉えるフルショット。突然ものすごい勢いで光って、飛ぶ。この「ものすごい勢いで光る」のが好きなんだが、やはりそれは使徒の凄まじさを感じるからなのだろうか。
・カット44
使徒が飛び上がったのに驚くシンジくん。そうか、アングルがやや上からなのは、シンジくんがやや上を見上げているからだよな。そうだよな。キュっととシンジ君にカメラは寄る。
・カット45
飛行機を踏み潰す使徒の足とシンジ君、同じ画面内。使徒でけー!やべー!爆発。
・カット46
爆発の光、さえぎる影、ブレーキ音みたいな音。爆風が収まる、ドアが開く音みたいな音。顔を上げるシンジくん。爆風が収まるまでのしっかりとした時間。かなり速いカット回しの中でこういう時間が利いていると思うんだが、どうやって考えたらいいだろうか。
・カット47、48
車、女、「お待たせ」。ああ。47はシンジ君の肩越しにミサトさんを見上げるカット。シンジ君視点なわけだなあ。この混乱の中現れるミサトのメシア性。メシア性ってなんだよ。
・カット49
ほっと息をつく暇もなくカットは切り替わり、非日常の視点へ。
・カット50
攻撃を受ける使徒。表情がないからナニ考えてるのか分からんぜ。
・カット51
ミサイルを撃つ飛行機。なんでミサイルだと思うのかといえば、音と光だ。
・カット52
使徒の廻りを取り囲む飛行機。
・カット53
ミサイルポッド?を近距離から。速度とか激しさが強調される。もっと言えば、猛攻撃してます感。
・カット54
ほぼ真下から使徒を見上げる。でけー!


めんどくさくなったのでこの辺で一旦やめておく。というか、これは無理だろう。やり方を間違えているとしか思えない。どうしたらいいの。