ストライクウィッチーズ 第6話「いっしょだよ」

既に第10話まで放送しているようだが、第5話以来感想を書いてない。途方にくれる。ぶっちゃけめんどくさい。いろいろと思うところもあり、筆も進まない。しかし書く。第6話である。実はお気に入りの回である。
最初のシーンからドキドキする。超ロングでしかも雲に隠れてよく見えないサーニャに向かって、カット割りをしつつ接近していく。カットがカチッと切り替わるたびに、感情のギアが一段ずつあがっていく感覚。雲と移動スピードを利用して、この「カチッ」が生成される。また映し出されているサーニャはキラキラしていて不思議で、何かが起こりそうだ。高揚する期待感は、しかし抑揚のない不気味な歌声(まず歌声とも思えないが)に抑制される。葛藤と欲求不満。情動を整理する間もなくOPへと突入。効果的な速攻だ。
気になるのは、月下というシチュエーション。これが俺にどの程度影響しているのか、測りかねる。なんだか、月下の雲海というだけで人は何かしら思い浮かべてはしまわないか。OPが明けても、そこは月下だ。やはり「夜」は「昼」とは違う感覚を俺に与えるように思う。そして、「月」は「夜」のある性質を強めるとともに、また別の性質をも付加させ、「月夜」は特別な印象を俺にもたらす。その性質とは何か。静けさ、冷たさ、清らかさ、穏やかさ。それだけではない、汲みきれていない。しかし、まあ、そのようなものだろう。月夜とピアノ、そしてサーニャは同じ方向を向いている。そして、それらが相乗効果的に俺に何かを思わせているのは間違いなかろうが、その内実は判然としない。
さて、ここまでのイメージとは裏腹なものを見せ付けることで、それらは強烈に印象付けられる(というのはよく見る手法か)。最初の戦闘シーンだ。それまでの月夜の静寂、サーニャの儚げな様子からはかけ離れた激しさ。「激しさ」とは煙や髪の速い揺れであり、カメラのブレでもあり、爆炎爆音である。その激しさにも関わらず、「月夜」や「ピアノ」は通底しており、奇妙な形でそれらの性質を際立たせる。それは不安に似ているかもしれない。そこで上気・紅潮するサーニャのアップ、心打たれるのは、不安が掻き立てられるからなのだろうか。そこに続くシーンが暗い雨の夜であるのも、何か。雲間の光で照らされるサーニャの憂い顔も、何か。何なんだ!
その次のシーンは女の子がのんびりしていて心が安らぐ。リーネの下らない冗談に対する、ロングカットのクールさも楽しい。「どんなネウロイが現われても不思議ではないわ」のセリフにかぶせて、様々なカップを映しているのは、その多様性をも被らせようとしているのか。
翌朝。前と同じような意味合いのシーンか。シャーリールッキーニ芳佳がじゃれている、その背景が黄色いイメージBGになるのは、なんか暖かくてほのぼの。サーニャの背後で移動するエイラとペリーヌの速度差もよい演出だと思う。エイラかわいすぎだろ。
暗い部屋。お札云々はちょっと無理あるかな。「幽霊によく間違われる」の発言は、サーニャの方向性をより明確にする。
「夕方だぞー」ってことで夕方。まあ、やっぱり、花瓶に活けられた花の間から覗くペリーヌは面白いわ。この回のギャグ演出は良く出来てる。複数のキャラが上手く絡み合っているのも、その一因だろう。
発進シーン。ぽつぽつぽつ・・・と点っていく滑走路の灯り。これも「夜」の性質・方向を思わせるのだが、はっきりと言葉にできない。これ、あと一秒長かったら面白かったかもと思う。
Bパート明け。なんだかキャラが微妙にデフォルメされて描かれていて、ギャグっぽい。キャラそれぞれの反応が見られると楽しい。
また暗い部屋。天井辺りの高さから俯瞰されたベッドに横たわる3人。前のシーンでキャラクター同士の絡みを見せられた後だと微笑ましくて、ただ状況説明的なカットというのみではないように思える。接続感。白・黒の猫の置物は何だ。エイラの足の間に芳佳が見えるカットは好き。キャラクターが生きてる感とでもいうか、有機的なつながりみたいな。
サウナから水浴びまで。「白い肌と黒い服」は先ほどの猫の置物を連想させはするが・・・。「恥ずかしがるなよ!女同士だろ!」「何故だろう…なんか、こう、ドキドキしてこないか、宮藤?」などのエイラのセリフはまるで少年だ。こんなにかわいい子が女の子のわけ。夕日に照らされるサーニャは、付き物だった「夜」とは少し異なって見える。夕日にも夕日独特の意味があるだろうが、ここでは明るさが際立つような。
夜空。雲海の水平線。不鮮明なラジオの音とそれに被さるプロペラ音。月。そして敵。この戦闘の面白さは最初の戦闘と重なるものが多い。最初の戦闘と異なるのは、サーニャ一人ではないということ。「あいつはサーニャじゃない、あいつは一人ぼっちだけど、サーニャは一人じゃないだろ」。不安はない。戦闘が終わると、雲は晴れる。雲海は美しいけれど、やはり雲は雲。光を遮る。もっと美しいものが見れる気がする。
最後のシーン。もう疲れた。あんまり筆が進まなかったので、シーン毎に分けて書いてみたら、やたら長くなってまとまりを失った。テーマ別に書いたほうがいいんだろうなあ。