とらドラ! 第1話「虎と竜」

エッジの立ったレイアウト・カット割が効いて、メリハリのある映像に仕上がっていると思う。結構好きかも。
広角レンズ風のレイアウトが、ある目的のために使われていたように思われて、面白い。広角レンズで覗いた世界がどのように見えるのが詳しくは知らないのではっきりとは言えないが、広角レンズ風レイアウトの大部分が竜司の家の中を映し出すものではなかっただろうか?広角レンズは竜司の家を歪曲させて見せる。パースペクティブが狂い、遠近感が強調され、部屋が実際より広く見え、また端的に映像として歪む。パースの歪みは、感情の歪みに転化する。歪んで見える家は竜司の家庭・家族の歪みではないか。また、実際より広く映し出される部屋は、竜司の孤独も映し出すのではないだろうか。これは、親がホステス?の母子家庭では歪んでいることもあろう、という下世話な推測からも来るものであるが、しかし、明らかに母子の感情の歪みが見えるカットもある。竜司「あんなのと一緒に―!」母「あーん、かっこいいー」のカットである。このカットでは、広角レンズというか魚眼レンズ的なものが使用されて、凄まじく室内が歪んでいる。これは二人の間の歪みと言ってよかろう。いや、でも、仲のいい母子に見えなくもない。むしろ家庭が歪んでいるっぽいのは、大河なのか。しかし、竜司は竜司でインコちゃんは家族とか言ってるからして、何かはあるよなきっと。
大河が言われるほど小さく感じない。長井監督が『II』を監督した『ハチクロ』のはぐちゃんは、あんなに小さく感じるのに。はぐちゃんは小動物的だけれど大河は虎だから、小さく見えすぎないように演出しているというのもあるだろうが、釘宮理恵の声の背が高いことが影響している気もした。
こういうほっちゃんが一番好きかもしれない。さほど天使性を発揮しないけれど、俗臭は発しない加減。
なんだか『美鳥の日々』を思い出すのは何故だ。