『バカとテストと召喚獣』第4話「愛とスパイスとお弁当」感想

パセラに行くと曲と曲との合間に『バカテス』の宣伝が流れていて、パセラで徹カラをすると23時から翌8時まで何度となくその映像を見ることになるのだが、それがね、何度も何度も見てると、本編を見ているわけでもないのにすっごく『バカテス』が好きになってくる。これは怖い。全然面白くなかったから一話で切ったと豪語する先輩も、3時ごろには「おもろいやないか…」と漏らすことになる。ほんまにパセラは魔窟や。いや、それとはある程度は無関係に、第4話が面白かったので感想。


◆「二」の氾濫
まるで「分身」のような召還獣の説明から始まるこの挿話は、「二」に彩られている。それは枚挙の暇がないほどであるが、具体的に指摘してみる。まず冒頭の「分身」的な召還獣。明久くんが口にする「復」讐と「復」習。化学「II」の教科書。カップめんの「2」分の1分割。美波さんの妹の「ツイン」テール。「二」つのお弁当箱。競合する「二」人の女性(美波さん・姫路さん)。アイキャッチでの問題=「相」殺。姫路さん(のお弁当)の「二」面性(見た目←→味)。明久くんの天使と悪魔の「対」立。鏡や液体への反射(re-flection)。背景のシンメトリー(左右「対」称)の多用*1。AランチかBランチかの「二」者択一。バイセクシュアルらしき(?)男子学生。リサイクル。同じような台詞やシーンの「反復」。etc...


◆美波さんのジレンマ
いま述べたように、「二」の反復と変奏の溢れかえる挿話だったのだが、それらは美波さんの「ジレンマ」へと至りつくものであるように思われる。お弁当を渡したいのだけれど渡せない「相反」。男と女との二項対立のアンビヴァレントな感情は、二度、明久くんと美波さんを画面の両端へと遠ざけてしまう。繰り返される「二」は美波さんのジレンマを深化させ、二人の人間を引き裂いていくようにも思える。組織的に分裂させられてしまったものたちが、けれども一つになるときが訪れるのだから、それは感動的と言わざるを得ない。夕暮時という魔術的な時間に、あたかも昼と夜とが交わるように、美波さんの二つの相反する想いは氷解し、離れ離れになっていた明久くんと出会う。その場面で、背景が赤と青の二色に分けられているのは見落としようがない。


◆まとめ
上手く書けない。なにが面白かったのか。
近づきたいけど傷つくのが怖くて近づけないでも近づきたい…というような、ありふれていてもうどうしようもないお話なのだが、「二」の反復と変奏の氾濫が興味をそそり(とりわけ、同じような台詞・シーンの反復は面白い)、それらが最後には美しい夕暮れへと集約していく、この過程にはパズルのピースが組みあがっていくかのような気持ちよさがある。いや、美波さんはとても可愛いので、別にそれだけでも十分なのだけれども、それだけというわけでもない、楽しい回だったなあ、と。そういうことか。

*1:多用、というほどではないかな。